烏坦城に生まれたショウ炎（しょう・えん）は、9歳にして少年闘之気（とうしき）大会を制し、天才の名をほしいままにしていた。しかし同じ年、“五大家族”の一員として北方討伐隊に参加した母が、魂滅生（こん・めつせい）に寝返って宝物を奪った疑いをかけられ、自害してしまう。それから7年――汚名を着せられたまま育ったショウ炎の闘之気はいつしか衰え始めた。それでも一流の闘者になることを夢見る彼に対し、父・ショウ戦（しょう・せん）は…。

納蘭桀（のうらん・けつ）は、孫娘の嫣然（えんぜん）とショウ炎（しょう・えん）の婚約破棄を望んでいる――。古河（こ・か）はそう告げたうえで、家の格が釣り合わないことも挙げ、破談を迫る。あからさまな侮辱に怒りを覚えたショウ炎の父・ショウ戦（しょう・せん）は、見返りにと差し出された丹薬を突き返すと、納蘭桀が自ら婚約解消を切り出さない限り、婚約の宴は執り行うと宣言するのだった。数日後、予定通り宴は開かれたが…。

ショウ炎（しょう・えん）は、自分１人で魔獣・龍蠍（りゅうけつ）を倒す試練を乗り越え、晴れて薬塵（やく・じん）に師事することに。まず習得を命じられたのは玄階高級の八極崩。8種類の暗力を重ねて打つこの闘技は、闘気次第で威力を格段に強められる。ショウ炎は外の世界とは時の流れが違う指輪の中で数年分に匹敵する鍛錬を積み、さらには鍛錬に効果的な血霊虫の使用を決断。身を焼かれるほどの苦しみを味わった末に、とうとう闘者へ昇格し…。

今よりも強くなって納蘭嫣然（のうらん・えんぜん）を倒して、母の仇を討ち、ショウ（しょう）家の名誉を回復する――そんな誓いを胸に、ショウ炎（しょう・えん）は念願だった闘気大陸の最高学府である迦南学院に入学した。最初に連れてこられたのは黒角域森林。新入生たちは、配布された学院の通貨である能量符10枚を手に、自力でこの森を抜けるのが伝統だという。説明を終えた迦南学院の教師・若琳（じゃく・りん）が去り、試練は始まった…。

黒角域森林の試練――その最後に控えていたのは白山（はく・さん）。明らかに自分より数段上の実力者を前に、歯が立たないとみたショウ炎（しょう・えん）は、薬塵（やく・じん）に助けを求めた。どうにもならないと匙を投げる薬塵に食い下がり、何とか教えてもらった方法は、己の六経と三脈を闘気で遮断すること。つまり、“死んだふり”である。この奥の手を繰り出して白山に打ち勝ったショウ炎は、試練を乗り越えた仲間とともに迦南学院にたどり着き…。

ショウ炎（しょう・えん）は、納蘭桀（のうらん・けつ）へのごますりに余念がない葛葉（かつ・よう）から、執拗な嫌がらせを受けていた。そんなある日、彼は白程（はく・てい）から古河（こ・か）の薬房を掃除するよう言いつけられる。それを命じたのは葛葉らしい。言われるがまま薬房に出向いたショウ炎は、床に丹薬が落ちているのに気づき手に取った。ところが、そこを雷雄（らい・ゆう）と葉遜（よう・そん）に見咎められて、盗人扱いされてしまい…。

血宗の範ロウ（はん・ろう）に捕えられた林修崖（りん・しゅうがい）を一刻も早く救出するべく、ショウ炎（しょう・えん）は指輪の中で薬塵（やく・じん）から命じられた新たな闘技・焔分噬浪尺の習得に励んでいた。その夜、宿舎でショウ薫児（しょう・くんじ）、昊天（こう・てん）、虎伽（こ・か）らと話していると、突如として範ロウが姿を現す。ショウ炎に襲い掛かり、彼の首を締め上げながら範ロウは言う――奪った玄重尺を持って、今すぐ伝法の森に来い、と…。

炎幇を維持するには多くの能量符が必要だった。丹薬を売って稼ぎたいショウ薫児（しょう・くんじ）たちは、店を持つ師兄を懐柔し、売り場の半分を貸してもらうことに。他と比べ安価で質の高いショウ炎（しょう・えん）自作の高位聚気散は評判を呼んで大もうけとなり、一同は大喜び。だが、それをよく思わない者たちがいた。韓閑（かん・かん）率いる薬幇である。商売を邪魔してきたうえ、薬幇の傘下に入ることも拒む炎幇に怒り心頭の韓閑は…。

薬幇に勝利を収めたショウ炎（しょう・えん）は、韓閑（かん・かん）のもとを訪れた。闘気を増幅させるべく聚気散を過剰に摂取した韓閑の体を案じてのことである。手当を申し出るショウ炎。それには応じたものの、彼のことが気に入らない韓閑は、和解案に賛同しなかったばかりか、今後、薬幇は炎幇の者に交替で勝負を挑むと宣言するのだった。新入生ばかりの炎幇に勝ち目はない。仲間を傷つけられるのは耐えられないと、ショウ炎は思い悩むが…。

ショウ炎（しょう・えん）が白山（はく・さん）に挑戦することに、炎幇の多くの者が反対の意を示した。それでも引き下がる気は毛頭ないショウ炎は、自分が負けても炎幇に累が及ばぬよう、幇主としてではなく一個人として挑むことを皆に告げるのだった。一度決めたら考えを曲げない性格を誰よりも知っているショウ薫児（しょう・くんじ）は、ショウ炎の意思を尊重しつつも、危険な焚天錬気塔で命を削らんばかりに鍛錬を続ける彼を心配し…。

ついに焚天錬気塔の最下層に到達したショウ炎（しょう・えん）。米騰山（べい・とうさん）は、鍛錬の成果を称える一方で、有名な異火である骨霊冷火を手に入れたことに対し、分不相応な持ち物は災いを招くと忠告するのだった。そんななか、迦南学院では今年、課外活動として全学年総出での狩りを行うことに。場所は魔獣山脈――闘気大陸で最も豊かな宝を有する場所でありながら、“魔獣の王国”と呼ばれる危険な地であり…。

不死虫の体内から出てきた箱の中にいた１人の女。山麓にある薬舗の娘のようだが、強い闘気を持つ彼女に、ショウ薫児（しょう・くんじ）は不信感を抱く。そのことを秘かにショウ炎（しょう・えん）に報告したが、時すでに遅し。林修崖（りん・しゅうがい）らは倒され、薫児自身も人質に取られてしまう。女の正体は、雲嵐宗宗主の直弟子・雲韻（うん・いん）だったのだ。彼女は、薫児を解放する代わりに自分の手助けをするよう、ショウ炎に取り引きを持ちかけ…。

符師塔に飛び込むが、騰儡の卑劣な妨害工作に遭った林動たち。最後は林動と綾清竹が騰儡と対決するが、あと一歩のところで塔から落ちてしまう。しかし、頂上の風陣に阻まれた騰儡も祖石を手に入れられず、塔闘は引き分けに終わる。その後、奇物楼の屋上でふさぎ込む林動を綾清竹が慰めていると、符師塔に何者かが侵入する。

応歓歓はただ1人で風陣へ挑もうとする林動を助けるため符師塔へと乗り込む。そんな中、頂上でようやく祖石を手につかんだ林動は呑噬の主と対面し、ある言葉を授けられる。その後すぐに塔が崩落するが、林動と応歓歓は一命を取り留め岩大師たちは安堵する。一方、騰儡は人質にした青檀を林琅天に奪われたことに気づく。

青檀は林琅天に愛を告白し魔物退治に協力することに。その頃、林動は小炎とともにやみくもに青檀を捜し回っていたが、綾清竹に諫められひとまず様子を見ることになる。そんな中、応歓歓と小炎は林琅天への疑いを口にするが、林動は聞き入れない。林動に腹を立てた応歓歓は父親の応ゲン子に連れられ道宗へと帰っていく。

穆仟仟は林琅天に精神地図を渡し、林動の代わりに空間護符を探すようにと命じる。その頃、死んだはずの岩大師が思いがけず息を吹き返し、林動が正式に符師会の会長を継承する。そして、魔物を封じて天下を守る覚悟を決めた林動に、奪われた地図が偽物であることを明かした岩大師は、地図の解読に長けた符師を探すようにと言う。

道宗へ戻り自室に軟禁された応歓歓は、玄氷護符の主と出会い、自分が護符の継承者であることを聞かされる。だが、継承者になるためには林動への想いを断たねばならないと知って深く苦悩し、もう一度林動に会いたいと岩大師に助けを求める。その頃、林動と小炎は地鱗古戟を修復するため、大傀城の符師を捜しに行く。

林動と小炎は大傀城で応歓歓らと合流。一緒に陰傀宗に追われるはめになり、万金商会の大番頭・夏万金に助けを求める。カネに強欲な夏万金だったが、彼こそが林動たちの探していた内偵の符師だった。一方、応歓歓は道宗から抜け出し林動の行方を追うが、彼はすでに偽の応歓歓と合流していた。その正体は巧みに化けた穆仟仟で…。

偽の地図の示す場所に魔物を探しに向かった綾清竹は青檀と林琅天に遭遇。そして、林琅天が魔物に奪われたはずの偽の地図を持っているのを見て彼への疑いを深め、青檀を連れ帰ろうとする。だが、青檀が無意識に彼女を攻撃してしまい、綾清竹は気絶する。その頃、騰儡は林動が万金商会に身を潜めていることに気づく。

応歓歓は林動と感動の再会を果たすが、林動に玄氷護符のことを話すのは先延ばしにする。また、意識を失ったまま大傀城に運ばれた綾清竹は林動に助けられる。だが、林琅天と青檀のことを言い出せず、陰傀宗に襲われたと嘘をつく。そんな中、応歓歓は穆仟仟が扮した偽の林動に甘い言葉で誘惑され、連れ去られてしまう。

応歓歓を救い出した林動は、自分たちが魔物に騙されていたことに気づく。その頃、夏万金は穆仟仟に精神地図を渡すよう迫られていた。だが、それを死守した夏万金は全財産と精神地図を林動に託して息を引きとる。その後、綾清竹が林動を心配して慰めようとするが、彼はすでに魔物をおびき出して霊輪鑑を取り戻す作戦を立てていた。

小炎を人質に取られ、仕方なく騰儡に精神地図を渡した林動。彼は大勢の豪傑が護符を求めて集まる大荒古碑で騰儡と勝負をつけようと考え、小貂を連れて陰傀宗の偵察に出かける。そこで偶然青檀と林琅天に出くわした林動は、2人も護符を狙っていると知って驚く。青檀は林琅天と一緒に魔物退治をすると言って去っていく。

大荒古碑の中で、林動は騰儡との戦いに勝利するが、元力の壁に囲まれた空間に閉じ込められてしまう。そんな林動の前に、穆仟仟の力を借りた騰刹が騰儡の復讐を果たそうと現れる。その頃、同じく古碑の中にいた林琅天と青檀は別の空間に閉じ込められていた。林琅天は青檀の寒毒を利用して脱出すると、空間護符を手に入れる。

空間護符の制御がなくなったことで、崩れ始めた大荒古碑。そこに閉じ込められていた林動と応歓歓たちは古碑の外にいる綾清竹たちと力を合わせ危機一髪のところで脱出に成功する。そして、林動は青檀が騰刹にさらわれたと知ると、空間護符も魔物と結託した騰刹が奪ったに違いないと考え、大傀城に戻ることにする。

清朝雍正帝（ようせい）の治政下、第四皇・子弘暦（こうれき）は自身の妻を選ぶ「福晋選び」に幼なじみの青桜（せいおう）を招請する。福晋選びの当日、母である熹貴妃（ききひ）の期待に反して、弘暦は青桜を正室である嫡福晋に選び、その証しの品の如意を授ける。同じ頃、雍正帝は第三皇子・弘時（こうじ）の二心を疑い皇籍を剥奪、続いてその母である皇后・烏拉那拉（ルビ：ウラナラ）氏にも生涯禁足の刑を言い渡す。更に雍正帝は皇后の姪にあたる青桜との婚姻を考え直すよう弘暦に強く迫るのだった。

青桜が側福晋として弘暦の王府に輿入れしてから6年の歳月が過ぎた頃、かねてより病気がちだった雍正帝が崩御する。これにより弘暦が帝位を継ぐと、雍正帝の唯一の皇后だった烏拉那拉氏に、皇帝の嫡母としての尊号を与えるべきだという声が朝廷から上がる。この話を耳にした弘暦の母・ニオフル氏は憤慨し、あからさまに青桜に八つ当たりをする。そして烏拉那拉氏が二度と再起できぬよう、青桜に究極の選択を迫るのだった。

先帝皇后・烏拉那拉氏を排除しようとする皇太后・ニオフル氏は、景仁（けいじん）宮に幽閉されている彼女に密かに毒を渡していた。は烏拉那拉氏は一族の将来を青桜に託し、毒をあおって死んでいく。叔母の死を目の当たりにした青桜だが、弘暦にその死因を問い詰められても皇太后の関与はおくびにも出さず、あくまでも先帝崩御を悲しんだあまりの急死だと言い張るのみだった。新帝の即位式が済み、皇太后が慈寧（じねい）宮へ移る準備が進められるが…。

青桜は乾隆帝（けんりゅう）が皇太后を慈寧宮へ移さずにいることを知る。そんな中、乾隆帝から青桜のもとへ如意結びと2人の思い出の芝居「牆頭馬上（しょうとうばじょう）」の楽譜が届けられる。一計を案じた青桜は、禁足の身でありながら乾隆帝を訪ね、皇太后に孝を尽くすよう説得する。その甲斐あって、慈寧宮へ移ることになった皇太后は青桜の禁足を解く。更に自らの名を捨てて生まれ変わりたいと言う青桜に、皇太后は「如懿（にょい）」という名を与えるのだった。

西洋の男性が1人の妻しか娶れないという話を宮廷画家の郎世寧（ろうせいねい）から聞いた如懿。乾隆帝に一夫一妻は理想的なことだと話し、怒りを買ってしまう。これにより乾隆帝は延禧（えんき）宮から足が遠のくが、結局は自らしたためた絵や書を如懿に贈り、仲直りをする。一方、富察（ルビ：フチャ）皇后は後宮に莫大な経費がかかっているとし、贅沢はやめて倹約するよう妃嬪たちに申し渡す。そんなある日、乾隆帝は琵琶の奏者である白蕊姫（はくずいき）という美しい女子に目をつけ…。

如懿の侍女・アジャクは、如懿だけが皇帝直筆の扁額（へんがく）を賜ったことを内務府（ないむ）で自慢げに言いふらす。その話は富察皇后や慧貴妃（けいきひ）の耳にも入り、嫉妬にかられた慧貴妃は、自分も直筆の扁額を手に入れようと乾隆帝に直談判に行く。如懿だけを特別扱いするなと、扁額をねだられた乾隆帝は、后妃たちそれぞれに書を下賜（かし）する。そんなある晩、執務を終えた乾隆帝は夜伽（よとぎ）の相手を後宮の后妃から選ばず、琵琶奏者の白蕊姫を呼べと王欽（おうきん）に伝えるのだった。